Magazine7 流行語大賞

Magazine7が選ぶ2020年流行語大賞を発表します。

ことば解説

◎新型コロナウイルス

中国新聞社

表面に王冠のような突起があることが特徴のウイルスをコロナウイルスといい、これまでもSARSコロナウイルス(SARS-Cov)、MERSコロナウイルス(MERS-CoV)などが知られていたが、それに続く新種として現れたコロナウイルスのこと。

ウイルス名はSARS-CoV、このウイルスによって引き起こされる感染症をCOVID-19という。

2019年末から2020年初めに世界的に流行し、3月11日世界保健機構(WHO)がパンデミックと認定した。

事態が重く認識され始めたのが1月23日、中国当局が武漢市を封鎖したニュースが流れてから。

日本では1月20日に横浜港を出港したクルーズ船・ダイヤモンドプリンセス号の乗客が香港で下船した際新型コロナウイルスに感染していることがわかり、2月5日から14日間横浜港で船上隔離を開始、帰宅後に感染が確認されたケースがあったものの、まだ一部の特別なこととの見方が多かった。

無症状でも人にうつす可能性があることが知られるようになり、他人とは2メートル離れることがエチケットという「ソーシャルディスタンス」も日常語となった。

2月中旬に大阪のライブハウスで「クラスター」が発生、この頃から身近に迫る恐れを感じ始めることとなった。
以降、芸能人のライブ活動が次々と中止。
3月2日からの小中高等学校の一斉休校を文部科学省が決定した。
これにたいしては、そこまでなのか、と疑問、反論も多かった。

3月9日には専門家会議が「密閉・密集・近距離」が重なる場を避けるようにと呼びかけ。
その後、内閣官房が近距離を密接とし、「3密」ということばで注意が喚起されるようになった。

3月19日、専門家会議は「オーバーシュート(患者の爆発的な急増)」の恐れに言及するも、花見の季節の連休は人出も多かった。

3月23日、小池百合子都知事が「ロックダウン」ということばを使い危機感を表現、外出自粛を促した。
国民の意識は高まって食料品などを買い込みスーパーでは品不足が発生。

3月24日に東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定。

3月29日に志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で死亡。
「あんなに元気だった人が・・・」と日本中にわがこととの認識が広がった。

4月7日、7都道府県(東京、埼玉、神奈川、千葉、大阪、兵庫、福岡)に緊急事態宣言。

これ以降、2020年は新型コロナウイルスの感染者数が毎日発表されるなど、状況と対応一色の年となった。

アベノマスク


マスク着用が推奨され、マスクが品不足となっていた4月1日、安倍首相が布マスク2枚を全世帯に配布する方針を発表。

重大な医療危機の政策がこれか、と国民はずっこけた。

マスク自体も到着が遅い、小さい、汚れていた、など評判は芳しくなく着用する人は少なかった。

そんな中でも安倍首相はかたくなに配布したマスクと同種のマスクを使用し続け、このマスクは安倍首相が誇るアベノミクスをもじってアベノマスクとよばれるようになった。

マスク不足が解消されてからは、首相も不織布マスクを使用するようになり、ホカノマスク、ベツノマスクなどともいわれた。

3密


東京都ホームーページより

専門家会議が「密閉・密集・近距離」が重なる場を避けるようにと呼びかけたのが3月9日。その後、内閣官房が近距離を密接とし「密集・密接・密閉」=「3密」とまとめ報道でも使用されるようになった。
3月25日、小池百合子東京都知事が会見で「NO!! 3密」のボードを掲げて3密を説明し、感染拡大防止のポイントとして広まった。

換気のよい外なら安全であろうということで、休日はキャンプ場が賑わったり、飲食店を利用する際には「密かな」などと確認しあうようになるなどで日常語となり、「密」の文字が危険を表す文字となってしまった。

そもそも特に都市部では人が密集しすぎて日々のストレスになっていることは間違いない。これをきっかけに分散することを良しとする意識は続いて欲しいものだ。

リモート


オンライン会議などこれまでオンラインということばが使われていたところに、さらに画像やデータをそれぞれ別々の場所から同時に共有する様式が当たり前になった。

ZOOM、Teams、Skypeなどのソフトウェアを利用してオンラインよりも、より双方向性が高いコミュニケーションが可能になったが、これはすべて海外製であり、使い方でてんやわんやする日本のIT後進国性が浮き彫りになった。

鬼滅の刃


少年漫画誌で連載されていた吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さん原作のマンガ。
アニメーションになり、映画化されて、型破りのヒットとなった。

ヒットの要因としては、大正時代の日本で鬼というリアル感、兄と妹の絆が泣けるとか、心を打つセリフがあるとか、鬼にも切ない事情がある、映像が美しい、動画配信がステイホームの時期と重なり、家族で見る機会となったなどが挙げられる。

外出自粛で野球、サッカー、舞台、ライブなど夢中で応援するイベントが蒸発してしまった。ここに、アイドル並みのルックスで健気に悪と対決する少年が現れて、思いっきり応援できた、ということもあるのではないだろうか。

NiziU(ニジュー)


日本のソニーミュージックと韓国のエンタテインメント会社JYPが共同で行ったアイドル発掘プロジェクト「Nizi Project」によって結成された日本人女性9人からなるグループ。

デビュー前のプレデビュー曲「Make you happy」が大ヒット。
全体的にテンポが速く踊りも細かい高度な振り付けだが、サビの部分のダンスは縄跳びをしているような動作で「縄跳びダンス」といわれ、幼稚園から大人まで女性が練習して楽しんだ。

オーディション審査といえば厳しい雰囲気が常であるが、プロデューサーのJ.Y.パークさんの参加者への思いやりのあることばがけも新時代を思わせた。

アマビエ


『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)

日本の妖怪。
江戸末期に熊本県に出現したといわれていて、その時の瓦版にイラスト付きでのっている。
海からやってきて「病気が流行したら自分の姿を写してひとに見せなさい」といって海に消えたという。

瓦版を所蔵している京都大学附属図書館が3月6日に画像をツイートしたことで拡散、中旬に水木プロダクションが、1984(昭和59)年に発行された「水木しげるの続・妖怪事典」(東京堂出版)で水木しげるが描いたアマビエを投稿、大反響となった。

その後、自分なりに描いたイラストをSNSに投稿する「アマビエチャレンジ」が盛り上がり、Tシャツ、キーホルダーなどの関連グッズも発売された。

「病気が流行したら自分の姿を写してひとに見せなさい」というのはまさにSNSの時代にもってこいの妖怪だったといえる。

お笑い第7世代

吉本興業ウェブサイト霜降り明星紹介ページより

お笑いコンビの霜降り明星のせいやが、自分たちと年齢の近い20代を「お笑い第7世代」と呼んだことで、この年代が一つの集団として認識されるようになりスポットを浴びた。

世代やグループで集まってなんやかややっていると、他からみると「なんか、仲いいな、おもしろそうだな」と思わせる不思議があり、この第7世代という命名は売り出し中の若手芸人のターボチャージャーとなった。

代表的な芸人は霜降り明星の他、ハナコ、ゆりやんレトリィバァ、ミキ、EXIT、宮下草薙、四千頭身、ぺこぱ、3時のヒロインなどなど。

この方々それぞれおもしろい!!

GoToキャンペーン


新型コロナウイルス感染拡大で収益が大きく低迷した業界へ向け政府が打ち出した支援策。

旅行業界向けの「GO TOトラベル」、飲食店向けの「GO TOイート」、文化芸術・スポーツイベントに向けた「GO TOイベント」、商店街活性化のための「GO TO商店街」の4種類からなる。

本来、感染が収束したところで一気に回復させることを狙ったものであったが、緊急事態宣言で感染者数が減少するも解除後再び増加し2波に差し掛かっている7月22日、GO TOトラベルが開始された。

開始に先立ち、東京都の小池百合子都知事は不要不急の外出自粛の呼びかけを続けており、「冷房と暖房を両方かけるようなこと」、「ブレーキとアクセルを同時に踏むようなこと」と懸念を表明、7月16日に東京都の発着や東京が目的の旅行は除外されていた。

11月には第3波が現れ、再び揺れている。

そもそも感染が収束すれば人々は自ら旅行に行く。政府からの補助など不要だ。

政府の補助がなければ「安くてよい宿」を探すので小さな旅館にも人は集まるし、大きなところは自前キャンペーンで工夫をこらすであろう。補助があるから「いつもは行けない高級ホテルへ」と人が流れて安い宿は潤わないということもない。

キャンセル料が税金で支払われるようなこともない。

収束しておらず、不要不急の外出を控えている時にGoToなら行っていいというのはかなりの無理筋だ。

初めての事態に走りながら考えるということは無理はないが、このキャンペーン企画が民間の計画であったとしたら、企画倒れだと責任者はその地位にいられなくなるであろうし、そもそもこんな粗い企画は通らない。

パンデミックから10カ月経過したところでも相変わらずの対策は「マスク、手洗い、3密回避」ばかりで、たいした考えはないようだ。

菅総理は国民にわかりやすく丁寧に説明と言い続けるも、「ご飯論法」加藤官房長官との最強コンビで質問にたいする答えをはぐらかし続け、「検査をして感染者が多数発生すると、入院させる場所がない」「検査が誤った結果が出たらいけないから」と、本末転倒の話ばかりが聞こえ、あげくのはてには感染拡大は「国民の気のゆるみ」と結論づける。

やれないことはやらないお役所仕事ではなく、少しずつでも自力で進めている民間のじゃまだけはしないよう、お願いだから「not GoTo無駄な税金」でお願いしたい。

ウーバーイーツ


新型出前。
このサービスは2つの新しさで一気に広がった。

1つは配達を専門にしているということ。
もう1つは配達員がアルバイトでそれも登録すれば1時間でも従事できるという仕組み。

ステイホーム中、大きなバッグを背負い疾走する自転車を目にすることが増えた。スマホの画面でレストランのメニューを見てタップすると家に配達してくれる。

あっていいのか、こんな贅沢。

買物も食事もスマホをタップすると手に入る。もうそれはドラえもんポケットのようだ。

でも実際はドラえもんも魔法もない。
人間が汗水たらして必死に仕事をしているおかげなのだ。

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