「兵馬俑と古代中国」みどころとベストを紹介
これは複製品
「兵馬俑と古代中国 -秦漢文明の遺産-」展が東京・上野の森美術館で開催されています。
たいっへんエキサイティングな展示品の数々でした。
中国に行ってもこれだけのものを一覧できないと思われます。
お薦めです。
目次
みどころベスト3
1 始皇帝時代の兵馬俑
やはりこれ。
2000年以上前、中国・始皇帝の下で戦い像として甦った人々。
今、対面している奇跡。
現地からやってきた兵俑が8体。
透明なガラスケースにはいって立っています。
規制線もなく近寄れて”本物”が思う存分見られるのです。
実物大ということでみると、かなりガタイは大きい。
180cm前後から190cm。兵士だからなのか、みなそのくらいの体格だったのか。
大谷翔平選手が193cmですから、現代のプロスポーツ選手クラスな感じ。結構食生活はよかったのかな。
直立像、弩(いしゆみ)を持って待機する片膝立ちの像、弓をいらんとするかまえの像、それぞれ得意の武器だったのだろうと想像すると夜動いているんじゃないかと思う。
原泰久さん作の漫画『キングダム』の場面との関連について解説しているコーナーもあり、それによると主人公の信は位からみて↓感じだったのでは、と。
『史記』の時代の服や兵装は横山光輝さんの漫画『史記』で見覚えたのが最初。今は『キングダム』ですが、きちんと再現されていることに驚き。改めて漫画家さんはすごい。
2 漢の時代の金の馬、金印
りゅう金青銅馬
高さ62cm、長さ76cmの金・青銅製の馬です。
武帝の姉の所有だったそう。
バランス、立ち姿、蹄、耳、ほれぼれする仕上がりです。
この馬、しっぽの付き方が腰のあたりから出ているのが特徴で、これは天を翔ける馬のイメージではということです。
「王精」亀鈕(きちゅう)金印
長さ1.1cm、幅1.1cm。
小さい小さい金印です。
持つところが首を思いっきり伸ばした亀。
精工でかわいい、これが金とは。
透明な板の上に置かれていて、下の鏡に「王精」と映って見えるのが素敵です。
「精」という名の皇太子の印なのか、「王精」という名前の印なのかはわかっていないということです。
3 ラーメン鉢の渦々の謎をとく
現代、中華料理の鉢の淵には、渦々のいわゆる”ラーメンマーク”があります。
なぜこのマークなのか、物心ついた時から謎だった方も多いのではないでしょうか。
この展覧会でその謎は氷塊しました。
答えは「もう、大昔からみんなやっていたから」です。
秦の時代、漢の時代、造られた銅器、青銅器、陶器とほぼほぼ淵や表面に繰り返しの文様があしらわれているのです。
いくつか種類がありました。
・蟠螭文(ばんちもん)
龍が渦巻き状に絡み合った様子。
・窃曲文(せっきょくもん)
龍の簡略版。
・雲紋(うんもん)
雲を図案化したもの。
紋写真は図録より
これをみると、現代のラーメンマークは窃曲文に近そうです。
つまり、縁起のよいと考えられている龍が絡み合った紋、それが簡略化されたものが今に続いているといえるのではないでしょうか。
まだまだみどころ
紀元前2700年の頃から人が創り上げてきた造形物は精工を究めデザイン性にすぐれ魂がこもっている。
現代は大昔より進化していると思い込んでいたが大間違いだった。
古き時代の技を綿々と受け継いできて今があるということがよくわかりました。
中国すごし。
ほか、器は持つところや”口”の部分は、なにかと鳥や動物を模っていてとってもファンシーなのも楽しい。
ジブリ風の陶製の一角獣などおもしろいものもたくさんあって、「古代中国」だと改まらないで「上野動物園に来たけどこっちにした」くらいの気軽さでちょうど楽しめるなと思いました。
展示がみやすい
展示の順序も整理されていて、説明もわかりやすく、事前情報なくても読んでいくと理解できるようになっているのも大変親切だと思いました。
特にブラボーなのは、兵馬俑室の撮影がOKなこと(他の部屋はNGです)。
画像でみると見落としていた点も確認できるし、興奮も甦り何度も見返してさらに楽しめます。
写真の説明が欲しくなり、図録も迷わず購入しました。
またこの図録もよかった。
展示品が展示の通り掲載されていて、読み物として図鑑のように楽しむことができます。
近年の図録は写真のインパクト優先で統一感なく配置されているものがみうけられ、購入をあきらめた経験もありましたが、今回の図録は保存版です。
「兵馬俑と古代中国 -秦漢文明の遺産-」展、2時間は予定しておいたほうがよいかも。