シリア内戦 なぜ争っているのか

シリアは内戦状態にある。

なぜ争っているのか。

なぜ争っているのか 国内編

シリア国内の勢力

反政府:アサド政権打倒
反政府・トルコ系:アサド政権打倒
クルド民族主義勢力:独立
イスラム過激派:勢力拡大

反政府はなぜシリアで戦っているのか。

反政府はアサド政権打倒をめざしている。
シリア政府は、アサドを大統領とする政府で、事実上の一党独裁体制にある。
これにより、政府内では縁故主義や官僚の汚職や不正が蔓延し、批判するものは容赦なく抹殺されるという強権政治が行われていた。
一方、市民生活では人口が増加し、干ばつなどによる経済格差も拡大していて、政権に対する不満や欲求があった。

存在していた不満に火をつけたのが「アラブの春」。

「アラブの春」とは

「アラブの春」は中東の国々で起こった独裁政権にたいする大衆抗議運動。

中東諸国の一党独裁政権はシリアだけでなく、複数の国で存在していた。
まずチュニジアで2010年12月、国民が街頭デモや集会など大規模な抗議行動を起こし独裁政権交代を求めた。
この動きは独裁政権国のエジプト、バハレーン、リビア、イエメンなどへと伝播していき、シリアにも及んだ。

シリア市民の反体制抗議運動に対し政府は治安部隊の武力で弾圧。
しかし、反体制の行動の勢いは収まらず「シリア危機」に拡大していった。

「アラブの春」をきっかけに反体制勢力が勢いづき、他勢力とあわせ打倒アサド政権へ武力闘争に発展していった。

反政府・トルコ系はなぜシリアで戦っているのか。

反政府・トルコ系はアサド政権打倒をめざしている。
反政府・トルコ系はトルコが支援する反政府勢力。

シリアとトルコは対立関係にある。
なので、トルコは海外を拠点とする反シリア勢力の最大スポンサーとなり、反シリア体制に亡命先や活動上の聖域を提供している。
>>トルコはなぜシリアと戦っているのか。

クルド民族主義勢力はなぜシリアで戦っているのか。

シリアのクルド民族主義勢力はクルド人の反政府勢力。

クルド民族主義勢力はアサド政権打倒というよりは、クルド人の独立をめざしている。
独立をめざしているものの、武力ではなく政治的手段による実現をめざしていて、シリア政府、ロシアと共闘することもある。

「イスラム国」掃討作戦が行われた際には、アメリカのオバマ政権に後押しされ「イスラム国」と戦った。

シリアのイスラム過激派はなぜシリアで戦っているのか

シリアはイスラム過激派とのつきあいが長く、複雑。

イスラム過激派を利用してきたシリア

・1970年代、イスラム政治運動をめざすイスラム過激派組織はシリアのバアス党政権(アラブの統一をめざす)と戦ったことがある。

・2000年代前半、シリアは逆に武装イスラム主義勢力を懐柔して利用するようになっていた。

・しかし、2003年、シリアの隣国イラクでアメリカがイスラム過激派の掃討作戦を実行すると、イスラム過激派はシリアでテロ攻撃を強めるようになった。

2011年「シリア危機」が発生するとこれらを背景に、武装したイスラム過激派の人員が反体制派に混ざり活動するようになった。

これ以降、過激派はシリア国内でテロ攻撃を増やしていった。

「イスラム国」の台頭

2013年、イスラム過激派組織が全世界のイスラム化に向け勢力を拡大し「イスラム国」が台頭。

「イスラム国」にたいしては、シリア政府もシリア反体制派武装派組織もアメリカもロシアも敵として戦う。

2015年にはアメリカは「イスラム国」打倒に向けシリアを空爆した。
2019年シリアでの「イスラム国」の支配地は消滅した。

その後、シリアではアル・カーイダ系などのイスラム過激派グループが自治や治安を行っている。

なぜ争っているのか 外国編

介入しているおもな国と理由

ロシア:軍事的協力
アメリカ:「イスラム国」掃討
トルコ:クルド人問題
サウジアラビア:イランとの関係

ロシアはなぜシリアを支援しているのか。

ロシアとシリアは歴史的に友好な関係がある。
シリアはロシアから軍事支援をうけ、ロシアはシリアに軍事基地を置いている。

アメリカはなぜシリアと戦っているのか。

アメリカはもともとはシリアにたいしては中立の立場だった。シリアは石油埋蔵量が多くなく利益が見込める国ではなかったからだ。
ところが「シリア危機」でさすがにひどいと、打倒アサド大統領となる。
それでも軍事介入までは行わなかったが、「イスラム国」が拡大した際、シリアに空爆を行った(2015年)。

シリアは嫌アメリカ。
パレスチナ問題で対立しているから。

パレスチナ問題の対立とは

パレスチナ問題は古くからパレスチナに居住するアラブ人とそこに移り住んできたユダヤ人の争い。
シリアはアラブ人側、アメリカはユダヤ人の味方でシリアはアメリカを敵視している。

トルコはなぜシリアと戦っているのか。

トルコがシリアと戦う要因はおおまかつぎの3点がある。

・クルド人の問題
・難民の問題
・宗派の問題

クルド人の問題

シリアはクルド人と共闘、トルコはクルド人と敵対している。
トルコは、敵であるクルド人をシリアは匿っているとみて、シリアを非難している。

シリアのクルド人とトルコのクルド人

クルド人はトルコにもシリアにも存在している。
トルコのクルド人はトルコからの独立をめざし、トルコ政府と戦っている。
シリアのクルド人は独立をめざしているものの、武力ではなく政治的手段による実現をめざしていて、シリア政府、ロシアと共闘することもある。

難民の問題

シリア内戦でシリア国民は国外に避難し難民となっている。
とくに地続きであるトルコへは難民が多く移動し混乱が続いている。
トルコ政府の負担は重くなっており、この問題に手を打たないシリア政府に対し不満を強めている。

宗派の問題

シリアとトルコはおなじイスラムだが、宗派が違う。

シリアとトルコの宗派

シリアのアサド大統領はイスラム・シーア派系のアラウィ派、トルコはイスラム・スンニ派。
トルコのアサド大統領の支持者にはイスラム・スンニ派が多く、シリアを支持する土壌がない。

サウジアラビアはなぜシリアと戦っているのか。

サウジアラビアとシリアの対立にはイランが関係している。

サウジアラビアはイランと敵対していて、イランはシリアと盟友。

サウジアラビアとイラン

サウジアラビアとイランは両者とも中東地域の大国でお互いを牽制している。
サウジアラビアはイスラム・スンニ派多数国家、イランはイスラム・シーア派多数国家で、イランはイエメン、バハレーン、イラク、レバノンなどのシーア派に影響を強め、サウジアラビアを囲まんとしている。

またイランは核開発疑惑がもたれている国でもあり、サウジアラビアはイランを脅威に感じている。

サウジアラビアはイランの勢いを止めるために、アサド政権を倒そうと考えている。

サウジアラビアとイラン国交回復

2023年3月10日、サウジアラビアとイランは中国の仲介によって国交を回復した。

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