2022年 Magazine7選 世相・流行語大賞

Magazine7が選ぶ2022年世相・流行語大賞を発表します。

ことば解説

◎3年ぶり


「3年ぶりの開催」今年はさまざまな催し物が制限をはずして開催されるようになった。
スポーツ観戦、お祭り、ファッションショー、ライブ、高校野球、マラソン大会などなど。
まだまだ恐る恐るだけれど、一方で「いつまで同じ対策をやるの?」という思いもある。

感染症専門家は危機感を訴え続けるばかり、一方で発熱であろうが一般診療として普通に対応しているクリニックもあり。

そろそろ不要なこと、必要なことを整理しなおしてもいいのでは?

◎ロシアのウクライナ侵攻戦争


こんなことがあるのか。
世界の大国が独立国に対して大義もなく武力で侵略を仕掛けるなんて。
しかも、一般市民が生活する街をターゲットにし虐殺・人権蹂躙の限りをつくしている。
プーチン大統領1人が命令するだけで戦争が行われてしまう恐ろしさを思い知った。

国連は機能しないことがわかった。
常任理事国云々もあるが、事務総長のグテーレスの存在感が薄すぎる。
フランスのマクロン大統領は、結果は出なかったががんばった。
日本だって「シンゾーとウラジーミルの間柄」と自慢していた人はどうしていたのか。

NATO諸国が武器供与でウクライナを支援するなか、日本ができる精いっぱいは防弾チョッキとヘルメットの供与、そして地名をウクライナ語読みにすることだった。

だからといって、武器も供与すべきだという覚悟はなく、ゼレンスキー大統領が国会で演説した際には武器については触れず、復興支援や国連改革への期待にとどまったことに正直ホッとした。

自分なりの応援をするしかないわけだ。

◎村神様


「村神様」今年神業的に活躍した東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手をいつしかファンはこうよぶようになった。

プロ5年目22歳の村上選手の活躍はすごかった。
・王貞治さんの記録を超える日本選手シーズン最多の56本ホームラン
・三冠王
・史上初5打席ホームラン
・通算150本塁打
・2試合連続満塁ホームラン

村上選手の魅力はホームランだけではない。
巨体を思いっきり投げ出す1塁へのヘッドスライディング。これも何度も見たい。

◎値上げ

消費者物価指数


ついに、値段が上がった。
日本では1990年代後半以降、慢性的デフレが続いていた。
1997年に山一證券が破綻したのを機に金融危機が発生して以来、激安が求められ、100均のクオリティが上がり続けた。

安いことはいいことだと思っていたが、どうやら世界から取り残されていたようだ。
円安でさらに「安い国」になった今年、外国人観光客は日本の安い買い物を楽しんでいたのだということに気がつき始めた。

以前はアジアの国への旅行では「安くておいしい食事」「安くておもしろい商品」「安く買えるブランド品」が楽しみだったが、なんと今は逆だ。
アジアからの方々も、日本で安い買い物を楽しんでいる。
正直じくじたる思いだ。

新型コロナのパンデミックでサプライチェーンが寸断されて以降、サイズを小さくする実質的な値上げ「ステルス値上げ」などで小刻みに上げてきた。
そして、今年ウクライナ戦争の影響で原油、天然ガス、小麦の価格が急上昇したところで、「もう無理」と半ばキレぎみに供給側が値上げを宣言、消費者も受け入れた。

今年10月の消費者物価指数は約40年ぶり3.6%の上昇率となったということだが、給料は上がらずで、激安・節約の限界を超えた「術」はなにかあるかな。

◎タイパ


コスパ(=コストパフォーマンス)ならぬタイパ(=タイムパフォーマンス)。
かけた時間にたいする満足度をいう。

今年、稲田豊史(いなだとよし)さんの著書『映画を早送りで観る人たち』が発売されたこともあり、動画視聴において、早送りしながら見たり2倍速でみる「倍速視聴」があたりまえになっている状態にスポットがあたった。

youtubeを見ていると「人の話はなんてまどろっこいのだ」と思う。
かといって内容には興味があるので、この場合は確かに倍速視聴は普通だ。

ドラマや映画。これにたいしてはまだ飛ばして見る感覚は身についていない。
VHSビデオを1本400円でレンタルしていた時代からするとやはり映画はありがたくじっくり見たいのだ。
「ここだけは見たい」というカ所を持っていないだけかもしれないが、とにかく。
制作物が安くなったものだ。

◎#ちむどんどん反省会


2022年前期のNHK朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』。
これはひどかった。
ヒロイン暢子は良い人だけに囲まれ苦も無くとんとん拍子に夢を叶え、兄のにーには元手も不明ながら投資詐欺に遭いその後特に苦労する様子も描かれず、沖縄の実家が貧乏である設定にもかかわらず、沖縄―東京を家族が幾度も往復したり。
トラブルが発生してもあっさり解決し尻切れで消えていく。
とにかく、設定、ストーリー、登場人物の描かれ方が一貫しておらず、視聴者を戸惑いの迷宮に陥れた。

視聴者のフラストレーションを披露し合う場としてツイッターの「#ちむどんどん反省会」が盛り上がりに盛り上がった。

的を射た共感を呼ぶ投稿が多く「#ちむどんどん反省会」がおもしろくてドラマを見るという人もいた。

ドラマスタートの頃は「ちむどんどん」or「あきさみよー」が”くる”かなと期待していたが、「#ちむどんどん反省会」が流行語になったのは残念なことだ。

◎それなー


相槌。基本的には「それそれ、それでしょう。よくわかるよ」という共感を表す返事だが、別のニュアンスももつようになってきている。
例えば、
・自分の知らない話題でも、知らないというと輪に入っていけないと面倒という時に言っておく。
・相手の話に肯定していいのか否定したほうがいいのか判別しにくい時に、とりあえず言っておく。

とにかく余計な言い方をして相手を傷つけたくないし、議論になったりして自分も傷つきたくない。
そんなふわっとしたつきあい方に重宝されたことばだ。

◎SPY× FAMILY


ウェブ漫画誌『少年ジャンプ+』で連載中の遠藤達哉(たつや)さん作の漫画。
今年アニメーションにもなって小学生の間で人気になっている。
架空のある時代の東西冷戦中の世界が舞台。
主人公のイケメンのスパイと、任務のために偽物の家族としてスカウトされた妻(実は殺し屋)と小学生の女の子(実はエスパー)がお互い正体を隠して3人で暮らす物語。

今風だなと思うのが、準主役の女の子が”こどもかわいこぶりっこ”にしかみえないのだが、これが人気だという、しかも小学生男子にも。

ストーリーは展開がバラエティーに富み、登場人物も多様で大人がみてもおもしろい。
男の子向け、女の子向け、さらには子供向けというステレオタイプの分類はとりはらい、おもしろければやってみるウェブメディアの強みを生かした才能発掘に希望がもてる。

◎80歳の壁


精神科医の和田秀樹さんの著書『80歳の壁』が話題をよんだ。
人生100年といわれたところで、実際問題体はガタがくる。
元気ぶらずに80歳そのままを受け入れて「幸齢者(こうれいしゃ)」として幸せに生きようではないか、というエールは80歳のみならず予備軍の心も楽になった。
やれるところはやってみようという「残存機能を残すヒント」50音カルタの章には高齢者専門の精神科医ならではの具体的なアドバイスが詰まっている。

◎きつねダンス


北海道日本ハムファイターズの本拠地・札幌ドームで、イニング間にチアリーディングチーム FIGHTERS GIRL(ファイターズガール)が中心となって踊るダンス。
曲はルウェーのコメディーデュオYlvis(イルヴィス)の「The Fox」
ファイターズのマスコットキャラクター、「フレップ・ザ・フォックス」にちなんでの選曲ということだ。

ファイターズガールのかわいらしさはもちろん、選手のダンスがとてもいい。
特に清宮幸太郎選手のちょっとはにかみながらも、好きでやってる感が最高にキュート。
彼はオールスターの時でさえ、球場に音楽がかかると耳をつけて踊っていた。
そんな場合か!?

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