中国青銅器名品選 「不変/普遍の造形」展
中国青銅器名品選に行ってきた。
六本木の泉屋博古館東京で開催されている。
目次
青銅器といえば銅鐸ではない
古代青銅器といえばほぼ銅鐸と思っていた。
今回、この概念が完全に覆された。
青銅器はもっともっとクリエイティブ感全開のエンターテインメントだった。
ポイントは3つ
・愛嬌があるといってよいのか恐いといってよいのか、奇妙にかたちづくられた動物がたくさんいる。
・酒にまつわる器が多い。
・幾種類の文様がある。
これらが創られたのは秦の始皇帝の時代よりさらに1000年以上前の紀元前1600年以降、殷の時代から。
わが日本が縄文時代の頃だ。
写真撮影OK
写真撮影がOKだった。
とてもうれしい。
おもいっきり撮ってきた。
奇獣・珍獣
酒や水用の器
文様
饕餮紋
メインは饕餮紋(とうてつもん)
饕餮は伝説上の怪獣の名前。
ビー玉のような目があったらそれは饕餮紋だ。
怪獣の顔になっている。
さまざまな文様
山本堯『中国青銅器入門』(新潮社)の確認
公式ガイドブックとして、新潮社から山本堯著『中国青銅器入門』が出版されている。
とんぼの本シリーズで、豊富な写真とイラストが掲載されていて解説がとてもわかりやすく、楽しい本だ。
虎卣の謎
この本で「ハイライト」として紹介されているのが虎卣(こゆう)。
獣に喰われているのか、守られているのかが謎ということだ。
これを確かめようとよく見た。
これは喰われているのだろうと思った。
がんばって離れようとしてもどうしようもなく観念して瞳孔が開いている様子に違いないと。
ところが、同行した1人は優しく抱かれていると見た。
人が手でしっかり抱き着き足は怪獣の甲にちゃんと乗せ、安らいでいるのだと。
本では、虎が人間の子どもに乳を与えて育てたという『春秋左氏伝』のお話を示し安心して身を委ねているのだと見ている。
トトロとメイといわれるとそう見える気がしてくる。
う~ん。謎なだけある。
それだけ微妙な表情が作られているということだ。
恐ろしい門番の真実
螭文(ちもん)方炉。
ドールハウスのようなこの門構えの左右に配されている門番は小さい。
足がないのだという。
古代中国では足切りの刑にあった人が門番の仕事をすることがあったそうだ。
よく見ると。
まさしく正座くらいだ。
富豪の門番になると食事は恵まれていたとも書いてあるが、宦官という因習もあるし、中国の残酷な因習がこんなところにしっかりと刻まれていた。
ラーメン鉢の謎再び
前回のブログ「兵馬俑展に行ってきた」で、ラーメン鉢の謎について解明した。
2023.01.01
「兵馬俑と古代中国」みどころとベストを紹介
これは複製品 「兵馬俑と古代中国 -秦漢文明の遺産-」展が東京・上野の森美術館で開催されています。 たいっへんエキサイティングな展示品の数々でした。 中国に行ってもこれだけのものを一覧できないと思われます。 お薦めです。 みどころベスト3 1 始皇帝時代の兵馬俑 やはりこれ。 ...
今回の展覧会では青銅器が主役であり文様も数多く確認することができ「縁のうずまき」をよく見てきた。
再考した結果、前回の考えを修正したい。
前回は「窃曲文に近い」と思ったが、今回どうみてもピッタリの渦巻きマークを多く見た。
これには名がない。
メインの紋が描かれないすき間にひたすら描きこまれている。
青銅のつるつる面はあってはならないのだ、といわんばかりに”埋め草”として使われているように見えた。
メインの紋のデザインにたいし悪目立ちすることなく引き立てるオールマイティーの名もなき定番意匠といった感じだ。
もともと、渦巻きは世界中で邪を払う文様として使用されることが多いそうなので、その意味もあって人が口をつける縁を守ってくれているのかもしれない。
三角縁神獣鏡もあった。
三角縁神獣鏡は『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』にかかれている邪馬台国の卑弥呼の使者が魏の皇帝から下賜された「銅鏡百枚」にあたるのあたらないのと論争がある。
1990年代後半、奈良で大量に発見されたことから大和邪馬台国説でもりあがった。
住友財閥おそるべし
泉屋博古館は住友家がコレクションした美術品を保存、研究、公開している。「泉屋(せんおく)」は江戸時代の住友家の屋号だそうだ。