Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!

ベルリン・バロック・ゾリステン with樫本大進&ジョナサン・ケリー

ベルリン・バロック・ゾリステンが来日しています。
ベルリン・バロック・ゾリステンはベルリンフィルの主力メンバーが中心となって集まって構成される小編成の合奏団です。

 

・第1ヴァイオリン 4人
・第2ヴァイオリン 3人
・ビオラ      2人
・チェロ 1人
・コントラバス 1人
・チェンバロ 1人
といった様子でした。

コンサートマスターはヴィリ・ツィンマーマン

そして!
ヴァイオリン・ソロはベルリンフィル第1コンサートマスターの樫本大進さんです。


そしてまた!!
オーボエ・ソロは同じくベルリンフィル首席奏者のジョナサン・ケリーさんです。
かっこいい。

曲目は
前半、ジョナサン・ケリーのソロで。
・アルビノーニ、オーボエ協奏曲 ニ短調 Op.9-2
・ヴィヴァルディ、管弦楽のための協奏曲 ト短調 RV156
・マルチェッロ、オーボエ協奏曲 ニ短調
・ヴィヴァルディ、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 変ロ長調 RV548後半、樫本大進のソロで。
ヴィヴァルディ、四季「春」「夏」「秋」「冬」全部。

オーボエ協奏曲

アルビニーノ

作曲家のアルビニーノはカードゲーム製造業者の息子で家業を継ぎながら、それでいて多くの作品を生んだそうです。
家業が順調なので、仕事の心配なく作曲に集中できたのだといいます。

ヴィヴァルディと同じイタリアのベネチアの生まれで、ヴィヴァルディよりも7歳年上です。
アルビニーノが1671年、ヴィヴァルディが1678年、日本では徳川綱吉が生類憐れみの令を出していた頃です(1685年)。

アルビニーノはヴァイオリン弾きだったのですが、独奏楽器としてオーボエを愛好していて、最も有名な曲がオーボエ協奏曲だということです。

ジョナサン・ケリー

ジョナサン・ケリーは、2003年からベルリン・フィルの首席オーボエ奏者として演奏されています。
イギリス出身。
オーボエを始めたのが11歳、ケンブリッジ大学で歴史を専攻し、プロを目指し始めたのが卒業後ということです。
大英帝国の歴史を学ばれ、日英同盟についてもご存知なのかと想像するとテンションが上がります。

細身でシュッと背筋を伸ばして登場する姿は、これが英国紳士か!という印象です。

聞きどころ

オーボエ演奏はシンプルに、伸びの部分と超絶技巧の部分を楽しみにしました。
またオーボエ1本と合奏団を合わせると、どのような存在感になるのかも注目していました。

オーボエにマイクはありませんでした。
バック12人にオーボエ1人。
そのなかで、くっきりとはっきりと、繊細で透き通る上質な絹糸のようにまっすぐに音が伸びてきます。
かといって、12人にでしゃばらず溶け込みながらも立体的に聴こえてきます。

弦の方たちもピタリと合ってすごいな、と思いながらふと気が付いたのが「これがバロックですの?」ということです。
バロックと言うと、チェンバロがビロロロローンと鳴り、貴族がお茶を飲みながらのんびり過ごすというイメージを持っていましたが、全然違いました。
どちらかというと、軽いジャズ的な感じ。
テンポよくメロディアスで、どんどんのめり込まれていきました。

特に最後の「ヴィヴァルディ、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」は”あったまって”きたこともあってか、弦とオーボエがかぶさりながら厚みをましていくさまは体温0.5度くらい上がったのではないかと思うほど見事でした。

チャルメラ吹き(専門用語がわからずここにて勝手に命名。楽器のホーンの部分を客席方向に向けて音を拡げるように吹く)の響きが直接伝わってくるライブ感は最高です。

この方はオーボエを保持しているというよりも3本目の腕という感じで、もし大災害があっても吹きながら避難するのではないか、と思えるほどのfit感。

とにかく余計な振動はひとつもない、澄みきってどこまでも通るきれいな音、以上。
という心洗われる時間でした。

四季

樫本大進

1979年生にロンドンで生まれ、7歳でジュリアード音楽院に入学、11歳の時からドイツで学びそのまま住み続けているとのことです。

もともとソリストとして国際的に活動されていましたが、2010年からベルリン・フィルの第1コンサートマスターに就任し、日本でも大きな話題になりました。

彼の艶艶な音はリアルだとどのような感じなのかなと楽しみに臨みましたた。

まず入場でびっくりでした。
メンバーが位置について改めてソリスト入場というのが多いと思いますが、一斉に皆でどやどやと舞台にこられました。

そして、揃ったら2秒後くらいに、ふっと全員が揃ってあの「チャン チャン チャン チャララー」が始まりました。
うわっ。おしゃれー、とワクワクです。

続々と繰り出される演奏に、心拍数急上昇。
音量が分厚く、つやっつやでコシがありながらも滑らかな、いってみれば香川のうどんのような音色。
これがキュルキュルと力強く繰り出されてきます。

居合道の達人のような静&動の無駄のない身のこなしです。

全体特に奇をてらったところはなく、それだけに一音一音がビシッとキメられていて、静の時は細かく細かく、動の時はド迫力で、小柄な身体からどうやって?と不思議なくらいです。

ゾリステン

これを合奏団が盛り上げに盛り上げます。
演奏者12人、24の瞳が樫本さん一人に集まり「今日はアンタを男にしたる!」という温かい空気が流れています。
全員がアイコンタクトしながら丁寧に丁寧に調和した空気がつくりあげられていて、素敵過ぎです。

かけあい部分はスピード感溢れ、コンサートマスター・ツィンマーマンが目から”光線”を出し、それをチェロが受け止めて全てを支配しているのがわかりました。

チェロのリズム、音量、この存在感がとても魅力的でした。
チェリストは、クリスティン・フォン・デア・ゴルツさんという女性。
この方は前半のオーボエの時はきちんと正装で演奏していたのですが、休憩をはさみ後半になったらTシャツとスウェットみたいな服装に着替えていて(もちろん他の方々はフォーマルのママ)、打楽器のようにチェロを奏でるのです。

これが樫本さんの”疾走”に油を注ぐようなワイルドさ。
これがヴィヴァルディなのかと感動です。

さすがです。大進さん!

ヴィヴァルディといえば昔給食の時間になんとなく流れていた曲ですが、このような演奏が流れたら牛乳が喉に詰まって食事どころではないと思います。

四季は1季節ごとに3ピースありますが、これ、ぶっとおしで演奏するのが形だそうです。章区切りの拍手なしで40分強、全力疾走の演奏でした。
終わると、会場からは拍手の嵐。
登場と同じく、軽やかに退場され、それでも拍手。
観客としては「お疲れ様! アンコールしなくてよいですよ。ただすばらしくて拍手してるだけですから」という気分だったのですが、ここで、コンマスのツィンマーマンさんが、会場に目配せ、舞台袖の大進さんを手招き、メンバーの方々も「やるでしょ」という雰囲気。
大進さん再登場で「冬-2」を演奏してくれました。
やっぱりうれしいです。

最後になりますが、重要奏者、町田琴和さん。
この方も1997年から不動のベルリン・フィル第1ヴァイオリニストとしてご活躍です。

掛け合いが圧巻だった「夏-3」をここから。

演奏は別の奏者で、ちょっと今回のイメージとは違いますが(ヘルマン・シェルヘン指揮 (vn)ユリアン・オレフスキー ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1958年6月録音)。

関連記事一覧