「モーツアルトのかなしさは失踪する。涙は追い付けない。」
シリーズ 2分でクラシック 26/93
小林秀雄がモーツアルトを評論した著作に『モオツァルト』があります。
そして、ことあるごとに引用される一文が「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。」です。
いったい「涙がおいつけないほどのかなしさが疾走している」というのはどのような音なのでしょうか。
「弦楽五重奏曲4番ト短調 K.516」について語られたものです。
聴いてみましょう。
涙がおいつけないほどのかなしさが疾走しているところ
言われてみると確かにそのような気もしてきます・・・。
ちなみにこの一文は次のように続きます。
モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡(うち)に玩弄(がんろう)するには美しすぎる。空の青さや海の匂いの様に、万葉の歌人が、その使用法をよく知っていた「かなし」という言葉の様にかなしい。
『モオツァルト』を読んで、モーツアルトにはまったという方もいらっしゃるようですが、この格調高い小林秀雄の名文を見て、一瞬気が遠くなっても、気にしません。
このサイトでは、音楽・メロディーそのものをシンプルに楽しみたいと思います。
今日の1楽章は
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「さびから入門クラシック」